魚の目の痛みの原因とは?痛みの対処方法と二度と魚の目ができない方法を伝授!

魚の目

ついつい放置してしまいがちな魚の目。我慢できない痛みとなってしまい、靴を履いて歩くのが苦痛になっている方は多いのではないでしょうか。
そして、放っておくと大変なことになる病気が隠れている場合もあるので注意が必要です。
そこで今回は、魚の目ができてしまう原因とその対処法、注意すべき情報をお伝えし、再び魚の目を作らない方法を紹介していきます。

魚の目の原因とは?(タコとの違い)

足の皮膚によくみられるトラブルである魚の目・タコなどは、「多角化性病変」とよばれます。魚の目ができる原因は、皮膚が過剰な圧力や摩擦、剪断力(ズレ力)などの外的刺激を受けることで、内部を守るために局所的に角質が肥厚して形成されたものであり、生体防御反応によるものです。

ヒールの高い靴や、つま先の細い靴、靴底が薄い靴は足趾や足底に圧が集中しやすく、日ごろ履いている靴が原因で起きている可能性が高いのです。魚の目は鶏眼(けいがん)、タコは胼胝(べんち)とも呼ばれています。

皮膚は、外からやってくる様々な物質に対して、複雑な免疫応答をおこなうシステムがあり、異物を体内にいれないようにウォッチしています。また、皮膚は頑丈な構造をしており、外界からかかる力や化学的刺激、さまざまな汚れ(細菌、ウイルス、真菌)から体内を守っています。皮膚の表面にある表皮が作りだすその角質が厚く重なったものが、魚の目やタコです。

タコは、扁平隆起する局面に見られ、角質が扁平に肥厚した形状のものを指します。それに対して魚の目は、逆に角質が深部に向かって円錐状に肥厚した形状のものを指し、中央に透明な硬い芯状の角化があります。角質が厚くなると圧痛が伴うようになり、痛みとして感じるのは、魚の目の方が多いです。

しかし、魚の目があることで異常を自覚できるということを意味しますので、魚の目はその場所に過剰な負荷があることをしらせるサイン、つまり自分の強い味方といえます。

(参考文献:高山かおる「足育学 外来でみるフットケア・フットヘルスウェア」,全日本病院出版会,2019年2月,51頁)

魚の目が痛い理由

魚の目の痛みの原因は、角質が局所的に肥厚して硬くなり、その硬くなった角質が、神経や皮膚などの組織を圧迫することで疼痛を引き起こします。魚の目の痛みは「力がかかりすぎているのでなんとかしてくださいというSOS」なのです。

芯となる角質層の直径は1~2mmほどで、皮膚の内側により深部へ向かって増殖していきます。神経のある深い部分にまで楔のように入り込んでいくので、歩いたり圧迫したりすると神経が刺激され痛みを伴うことが多くなります。この楔状に肥厚した角質が、魚の目の痛みの直接の原因となります。

「常にあしうらに石ころをくっつけながら歩いているような痛み」と表現されることもあります。魚の目の芯はそのまま放っておくと、力がさらにかかって大きくなってしまうこともあります。

魚の目を放置するとどうなる?

糖尿病の神経障害(しびれや麻痺など)がある方にとっては、「糖尿病性壊疽(えそ)」といって、腐ってしまうきっかけになることさえあり、実は大変注意を要する病変です。

糖尿病がなくても、魚の目の痛みが原因で歩きにくいということもあり、痛みのある部分をかばって使わない代わりに、他の部分を使って歩くことになります。例えば、親指が痛いために小指の裏を使って歩いたり、股関節を開くように大股で歩いたり、クセのある不自然な歩き方をするうちに、お身体にゆがみが生じ、さらに膝や股関節、腰に負担をかけるようになり他の症状が現れる可能性が高まります。

まさに足元は建物に例えるならば、基礎となる土台と同じですので、土台が崩れると建物自体にトラブルが発生するのとなんら変わりません。

魚の目やタコができる場所

魚の目やタコができる場所

魚の目は間接突出部や骨に挟まれる部分など狭い範囲に圧が集中する部位に形成され、タコは比較的広い範囲に圧が加わる部位に形成されます。両者が混在する場合もあります。どの部位に角化が起こるかによって足の特徴を推測することもできます。

子どもの皮膚は大人に比べて柔らかいので、魚の目ができることは少ないとされていますが、子どもの足裏に魚の目のようなイボができた場合は、ミルメシアという感染症の可能性が高いです。
ミルメシアが疑われる場合は、皮膚科で医師の診断を受けるようにしましょう。

魚の目ができやすい人の特徴

  • 外反母趾(がいはんぼし)や扁平足(へんぺいそく)などの変形がある人
  • ハイヒールを履いている時間が長い人
  • 外出をあまりせず、室内でスリッパなどのかかとのない履物で過ごしている人
  • サイズの合わない靴を履いている人
  • 膝などの関節を痛め、歩くのが不自由な人
  • ぺたぺた歩きや足を引きずって歩く癖がある人

(参考:お医者さんオンライン「皮膚の病気【皮膚科】うおのめとたこ」)

魚の目の治療方法や魚の目の痛みの対処方法

魚の目の治療は、病院で何科に行けばいいの?

  • 魚の目ができて痛みがあり、歩くのが大変な場合⇒皮膚科などの専門医
  • 糖尿病や透析を行っている場合⇒かかりつけ医
  • 魚の目の部分から血や膿が出ている場合や糖尿病が原因で神経や血流に問題があると診断されている場合⇒足の専門病院やフットケア外来がある病院

魚の目の痛みを取るためには、皮膚にかかる圧力を軽くしてあげることがなにより大切です。特に、足の前方中心部にできる魚の目は足の横アーチが低下している状態が背景にある場合が多く、治りにくいものです。横アーチの低下は特に女性に非常に多く見られます。
魚の目の原因や状態は人それぞれ違いますので、複数の治療を組み合わせて行い、楽に歩けることを目指します。

(参考:お医者さんオンライン「皮膚の病気【皮膚科】うおのめとたこ」)

魚の目の治療法・解消法

1)靴・インソール(中敷き)による治療

靴選びにお悩みの方には足の状態に合った靴をお選びになることお勧めしています。合う靴を判断するのが難しい場合は、シューフィッターのいるお店を選びアドバイスしていただきましょう。また、靴は選び方だけでなく、履き方が非常に大切です。

靴・インソール(中敷き)による治療

インソール(自費)は靴の中に敷くものです。変形を伴っており通常の治療で治らない場合に使用します。病変部にかかる圧力を分散する治療(免荷療法)です。適切な形に作ればクッション性を与えるだけではなく、足のアーチを支えたり、痛い部分の圧力を軽くしたりすることができます。専任の技術者がフットプリント、足型をとって作成します。

2)運動療法

魚の目ができやすい開張足の人は、ぺたぺたという歩き方になりやすいため、踵を地面につけてから、親指の方へ体重移動させるように歩き、足指でしっかりと地面を蹴るように指導しましょう。正しく歩くことで、筋力もアップし、横アーチも改善されていきます。足全体を使った正常な歩き方に近づくためには、足やすねの筋力が必要です。外反母趾、開帳足の進行予防にも有効です。

足関節のストレッチは、椅子に座り、片足をくの字にして太ももの上に乗せ、趾に手の指を交互に組み、足首を上下に反らせたり、足首を回転させます。さらに趾の根元の関節を上下に反らします。これをアキレス腱伸ばしとセットで、1日に朝晩の2回やるといいでしょう。また椅子に座り、ゴルフボールをあしうらでゴロゴロさせ、趾だけでボールを持ち上げることもストレッチ運動になります。

(参考:国立大学法人東京医科歯科大学皮膚科「フットケア外来」)

3)フットケアサロンの役割

フットケアスサロン(自費)では、病変のない足に対して、足浴、ネイルケア(カット、甘皮ケア、爪甲削り、ファイリング)、ネイルクリーニング(爪溝そうじ)、巻き爪矯正、角質ケア(魚の目・タコ・かかと削り)を行うだけではなく、トラブルの原因を追求し、再発予防のためのアドバイスをしてくださいます。

その他にも清潔に保つことの重要性、正しいセルフケア法、足に合った靴選びや履き方、理想的な歩行、アーチ構造を改善するためのインソールの提案など、トラブルを未然に防ぐための総合的なアドバイスも同時に行っております。

4)魚の目を自分で削って対処する方法

魚の目は、原因となる厚くなった皮膚の角質部分を削ることで、ある程度魚の目の痛みを軽減することができます。魚の目を削る器具として、フットケアファイルやコーンカッターやマイクログラインダーなどがあります。削りすぎによって皮膚に傷をつけてしまう可能性がありますので削りすぎないように注意が必要です。

フットケアファイルを使用する場合、粗目面から細目面の順に使用し、皮膚を少し湿らしながら一方向に魚の目を削るようにします。力任せにゴシゴシと往復させないようにお伝えしましょう。

また、必ず手で魚の目の硬さや厚みを確認しながら行い、最初の硬さより少し柔らかくなった程度でやめ、削りすぎないように注意することもお伝えしましょう。削るのは2週間に1度程度にしましょう。

(参考:高山かおる「足育学 外来でみるフットケア・フットヘルスウェア」,全日本病院出版会,2019年2月,51頁)

日頃からできるセルフケア方法

魚の目の原因となる厚いところを削って取ることは有効ですが、同じ場所にまた同様の力がかかれば、当然また魚の目が大きく育ってしまいますので、その場所に力がかかりすぎないようにすることが必要です。 魚の目やタコにならないためにまず必要なことは靴と足のフィッティングです。  

サイズの合わない靴を履いている方も多いので、靴に詳しい方のいる靴専門店で、足に合っている靴を探してもらうことをおすすめしましょう。サイズの合わない靴を履くことで、足が履物の中で擦れることは過剰な力の大きな要因になっています。

足長や幅に合うサイズの靴を選び、足が靴の中で前後左右に動いて皮膚が擦れないように、面倒と思われるかもしれませんが、足と靴を固定するために靴紐をしっかりと締め、ベルトをしっかり留めることが擦れを防ぎますのでとても大切です。家の中のスリッパも擦れをおこす原因になっていますので、できれば踵を包み込むカップインソールや室内履きがお勧めしてあげてください。


もう一つ大切なのが足への荷重を分散させることです。引きずり歩行やガニ股歩行、外反母趾のある方などは注意が必要です。ストレッチにて足首を柔らかく保ち、趾をしっかり使うことを意識して歩いていただきましょう。

正しい歩き方は、かかとから着地して、最後は指先に抜けるように歩き、手を後ろにまっすぐふり、後ろにのびた足の膝もしっかり伸ばすように意識してください。目線はまっすぐ前を見ましょう。 ぜひ、「靴・靴下をみなおす」「歩き方をみなおす」「運動習慣をみなおす」という行動をおこすことこそ、病院にいくよりずっと大切なことです。

足裏や趾にできてしまった魚の目ができてしまう原因や痛みを除去する方法や生活できる指導法をご紹介してまいりましたが、再び足裏や趾に魚の目を作らないようしっかりとセルフケアを行って、元気にいつまでも歩ける足を目指しましょう!

この記事の監修者
フットスペシャリスト/スポーツ医学博士
桜井 祐子

足の専門校 SCHOOL OF PEDI(スクール・オブペディ) 校長
フットケアサロン「足の専門店PEDI CARE(ペディケア)」代表
角質からタコ、魚の目、巻き爪といった様々な足のトラブルを解消し、「健康で美しい足」を目指すトータルフットケアを提供。医療・予防・美容分野におけるフットケアスペシャリスト(足の専門家)育成のためにスクールで指導も行っている。一般社団法人日本トータルフットマネジメント協会の理事長をつとめ、執筆や講演、TV・メディアに多数出演するなどフットケアの専門家として幅広く活動中。

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